亡命者の古書店 続・私のイギリス物語 佐藤優

元外務省主任分析官・佐藤優氏の新人時代の英国留学時の記録。チェコ神学者「フロマートカ」を巡り、ロンドンに亡命したチェコ人の古書店主とのやり取りが描かれる。誰にでも経験があるのではなかろうか。大学を卒業し、社会に飛び込んだ時に感じる自分のやりたいことと、目の前の現実とのギャップ、将来への不安。その中で、自分がどう生きていくか、亡命者という厳しい現実を生きている古書店主や、留学先で共に学ぶ若き英国海軍軍人との会話の中で、自らの位置を見出す。私も時々考える。自分の召命とは何か、運命はあるのかと。この本は、そのような思索に一石を投じてくれた。

 それは「ある」のだ、と。