2019-01-01から1年間の記事一覧

人魚の眠る家

【ネタバレです】 脳死と心臓移植。失われる命と新しく生まれ変わる命。脳死は死か否か。現状の日本は、それは本人の意思と遺族が決めること。まだ温かく、反応もある娘を死んだものとして認めることができない母。最先端の科学技術によって、娘は神経ネット…

こんな夜更けにバナナかよ

「生きることは人に迷惑をかけること」 「障碍者は親兄弟が面倒を見るもの」という常識を変えたい」 「病院に縛りつけられるのではなく自由に生きたい」 筋ジストロフィー患者として42歳の人生を全うした実在の鹿野氏がモデル。 筋ジス患者であっても夢があ…

生と死のミニャコンガ

最後まで一気に読ませる、すごい本だった。 1981年、中国、ミニヤコンガ峰登頂に挑んでいた著者一行を襲った滑落事故。8名の仲間達を一瞬に失い、自身もクレバスに落ち込んだり死とスレスレの体験をする。 「生き残った者」としての十字架を背負い、現れる仲…

NHKスペシャル「彼女は安楽死を選んだ」を観て

重いので関心のない方、気分が塞いでいる方は読まないで下さい。あと、ネタバレが嫌な方も。 体調不良で久しぶりの自宅で過ごした休日、溜まったテレビの録画を見て衝撃を受けたのがこの番組。難病に陥った通訳の女性が、日々の苦しみ、オムツ換えなどを生涯…

再起動 リブート 斎藤徹

1日で一気に読了。29歳で日本IBMを飛び出して、ダイヤルQ2ビジネスを手始めに、ベンチャー企業の走りとして浮き沈みの激しい人生を走り抜けた記録。銀行の貸し剝がし、裁判、仲間の裏切り、自宅の差押えなどの修羅場を潜り抜けても、社会との繋がりを模索し…

信仰と医学〜聖地ルルドをめぐる省察〜 帚木蓬生著

ルルド。南仏、ピレネー山脈のふもとに位置する街。少女ベルナデットが来臨した聖母マリアに会った奇跡の町として有名なこの街に、大雨の中、私がたどり着いたのは10年くらいの5月だった。最初は、ずらっとホテルが立ち並び、土産物屋がずらっと夜遅くまで蛍…

春楡の木陰で 多田富雄著

良い本に出会えてよかった、と久しぶりにしみじみ思った。免疫学の泰斗、多田富雄氏のエッセイ。脳梗塞で半身不随になってから書かれたもの。氏の若き日のデンバーでの青春時代。場末のバーで、飲んだくれの客やバーテンたちの交流、中華料理店のウェイトレ…