クワイ川に虹をかけた男
25年前にタイを一人旅し、この「戦場に架ける橋」を訪ねて以来、泰緬鉄道のことを調べるのはライフワークとなった。
陸軍通訳として泰緬鉄道建設に関わり、駆り出された連合国軍兵士の元捕虜、現地労務者を訪ねて贖罪し、タイの子供たちの支援に一生を捧げた永瀬隆氏の生涯を追ったこの映画は、歴史問題というより、天から与えられた自分の使命とは何かを考えさせられた。
また、ともに使命を果たすための同志愛のような夫婦の結びつきも素晴らしいと思った。とくに奥様の葬儀とお別れのシーンは、今思い出しても、熱いものが込み上げてくる。こんな夫婦は幸せだな、と思う。
映画の中で氏は言う。「人生は虚無であるが、対象を見つけてそこに虹の橋を架ける。それが人生だと思う」
その言葉を映画館の片隅で噛み締めた。