南仏、そしてアクシデント



モスクワからミラノ経由で南仏のトゥールーズに入り、空港で車を借り
中世の空中都市、コルド・シュルシェルへ。

街に到着後、街の中を巡り歩く。街の中心のサンミシェル教会は13世紀の建造だ。城壁の中の旅籠風の宿で一泊。何回も翌朝も朝食を食べた後、すぐに出発してコンクを目指す。

何回もフランスに来たが、やっぱりフランスは英語が通じない国なのだ、と実感した。

途中、道に迷い、ゆるいスロープの道端に車を止め、行き先を確認すべくたった今通過したばかりのロータリーに徒歩で向かう。

後ろから大声がした。

振り向くと、自転車の男性が私の車を指さしている。見ると、何と、動いているではないか。

サイドブレーキの引き方が甘かった!

追っかけたが間に合わず、左側の車輪を道路に残し、右側が路肩から落ちた車は、45度傾いた姿勢で、草むらに突っこんで停まった。

慌てて運転席につき、エンジンをかけようとするがかからない。

社外に出ると、たちまち、何台もの車が停まり、数人の男女が、どうしたんだ、と近寄ってきた。有難い!

フランス語が全くできない私がもごもご言っていると、彼らは私にトランクを開けさせ、要領よく機材を取り出して、ロープをつなぐ。

「君が引っ張れよ」と指名された若者はジープに乗っているらしい。
彼の車に引っ張ってもらうと、難なく我がレンタカーは元通り、路上に戻ってきた。

「メルシー、メルシー」と精一杯の感謝の言葉を言った。彼らはまだ路傍に残って私の出発を見届けようとしてくれるような感じだったので、とにかく車を発車させ、大きくクラクションを鳴らし、お礼を言った。
彼らも笑顔で見送ってくれた。

それにしても、コンクリート製の側溝に落ちていたり、坂道をそのまま転がって行ったりしていたら大事故になりかねなかった。

不幸中の幸い。

全くの不注意なのだが、決定的な事態にならずに済んだ。むしろ、ラッキーだったというべきか。

それにしても、フランス人って、何ていいヤツなんだろう。

日本だったらこうはいかないかも。JAFが来てくれるまで、停まってくれる車なんてないかもしれない。

彼らの住所だけでも聞いておけばよかった。日本からお礼の品でも送れたのに、と気づいたが後の祭り。

せめて、次に自分がこんな現場を通りかかったら、助けてあげることにしようか。