ルルド-蝋燭の行進
ルルド2日目。
雨が降りしきる中、午前中、ルルド市内を徒歩で回る。
城壁、聖ベルナデット博物館、ベルナデット一家が暮らしていたカショーと呼ばれるかつての牢獄。
回っていくうちに、聖ベルナデットの生涯に興味を覚え、英語の伝記を買った。
ともあれ、まずはロザリオ教会下のマザビエル洞窟で(ここが、聖ベルナデットがマリアに出会ったところとされている)、マリア像を参拝する。
車いすの方も多く並んでいる中、私も並び、左側の岩壁から滴り落ちる水滴を、自分の体の不調なところにあててみた。
その後、水を汲む。このためのポリタンクと香水瓶のような小さな瓶を土産物屋でたくさん買い込んだ。
その後郵便局へ行き、一部を大阪の実家に郵送した。
これで一応、目的達成。
その夜。
雨は小ぶりになったものの止む気配がない。
ついていないな、と思いつつ、今夜の蝋燭の行進を見るためロザリオ教会に向かった。
昨夜の失敗を教訓に、行列に参加するのは止めて、ロザリオ教会正面の屋根の部分に階段で登っていき、蝋燭行列を上から眺めることにした。
もちろん、自分も蝋燭を購入、そばにいた人に火を分けてもらう。
夜9時。ミサが始まる。
各国語で話されているのだが、残念ながら日本語はなかった。タイ語、中国語はあったようなのだが。
御輿のようなものに乗せられた光り輝くマリア像が教会を出ていく。
それを先頭に蝋燭を持った一団が進んでいく。
アベ・マリアをみんなで歌う。これだけは知っているので私も歌う。
夜の闇の中、蝋燭を持った一団が光の列となって、聖域内を動いている。アベマリアの歌声が響く。
こんな「祈り」の形もあるのだな、と静かな感動を覚えた。
キリスト教徒ではない私は、やはり脇から見物していて良かったと思う。やはり、信者さんたちの持つ祈りのエネルギーはすごい。きっとみんなこの行列に参加することが長年の夢だったのだろう。
車いすの人たちを先頭に、マリア像がまた教会に戻ってきた。そして、後に続いていた人たちも続々教会前に集まってきた。列が崩れて、今度は広場いっぱいが蝋燭の灯に埋め尽くされる。
それらが歌に合わせて一斉に揺らめく。
何十年、いや何百年後にここに同じ時間に降り立てば、きっと同じ光景に会えるのではないか、そんな気がした。
苦しい病から逃れたいと願い、また家族の平和と健康を願う人々の想いは、決してなくなることはないだろうから。