ロシアの肝っ玉おばさん

今週のある日、オフィスで仕事していると、いつものように外で路面電車のベルがじゃんじゃん鳴りだした。

また、車と電車が喧嘩しているのか、と思って窓の外を見ると、側道から大通りに出ようとする電車が大渋滞に阻まれて身動きできない状態になっていた。

運転手のおばさんがジャンジャンベルを鳴らし続けるが、一向に車が途切れる気配がない。

その時だ。

突然、電車のドアが開いて、ばらばらとお客が降りてきた。2人おばさんとおじさん1人。

それぞれが車の中に割って入り、両手を広げて仁王立ち。

堰き止められた車は、仕方なく止まる。

いらついた車の一台が、おばさんを威嚇するように少しアクセルを踏んでおばさんに近づいた。おばさん、その車のボンネットに両手を押し当てて、踏ん張る。

やがて、堰き止められた先の車が動いて、電車が通るスペースが開いた。もう一人のおばさんが電車を誘導、電車が車の両車線を塞ぐようにして停車、電車のドアが開いて3人のおじさん、おばさん、意気揚々と電車内に引きあげていった。

一緒にそれを見ていた同僚のサーシャ曰く、

「いやあ、ロシアのおじちゃん、おばちゃんはすごいです。我々若者は勝てませんよ(日本語が上手なサーシャの発言のママ)」

こんな肝っ玉おばさん(おじさん)が健在である限り、ロシア社会は安泰だ。