アイ・ペトリ山
リバディア宮殿を見た後、ちょっと天気が下り坂に。
どこに行こうか、とガイドさんと話した時、勧められたのが「アイペトリ山」に登ること。
「ロープウェーで頂上に登ると、景色がとてもいいのよ、それに頂上でタタール料理のお昼ご飯なんてどう?」
いいなあ、と思いつつ、旅のガイドブック「ロンリープラネット」を見ると、このロープウェーについて、ちょっと婉曲な表現が。私の英語理解が正しければだいたい、
「このロープウェーは、スイスでのロープウェーと同様、安全の保証はしない、とされています。スイスは毎年の定期点検が義務付けられていて、ウクライナの交通機関よりよっぽどコンディションがいいようにみえるんだけどね」
どういうこと?。こわー。大丈夫やろか。
どうしようか、と思ったが怖いもの見たさの好奇心が先に立った。アフガニスタンの郊外で、「道路からはみ出さんように注意しておくれやす。まだ地雷とってまへんさかい」という標識のある道路を疾走した時の恐ろしさら比べれば、なんてことはない。まあ、このロンプラのことは家族には内緒だ。
まなじりを決して駅で待っていると意外にもそんなボロくない。
しかし絶景、絶景。特に頂上の直前が断崖絶壁、ほとんど垂直の崖の真上の駅に吸い込まれるようにたどりつくのは、ほとんど、絶壁に住む鳥になった気分だ。
眼下には美しい黒海が広がる。
頂上はなんてことない広場で、露店のようなタタール料理(トルコ料理もどき)の店が沢山あって、盛んに呼び込みをする。その中の一軒に入り、掘りごたつのような部屋でくつろいでいると、隣のテーブルの団体からウオッカが回ってきて、一緒に乾杯となった。
したたか酔っ払ってしまい、観光どころではなくなってしまった。
ところが、帰りのロープウェーに乗ろうとしてギョッとした。雲が出てきてロープの先が断崖絶壁の途中の雲の中でプツリと切れている。
本当に大丈夫か。
駅からそろっとロープウェーが崖に飛び出した時は、本当に怖かった。
これぞ絶叫ロープウェー。