一週間が過ぎて

今日で札幌に来て一週間になる。
新しい勤務先となった大学は緑豊かで、昼休みに散歩しているとここが大学であることを忘れる程だ。

公園に面したアパートで、鳥のさえずりを聞きながら目覚め、窓を開けてさわやかな北国の風を感じる朝。

昼は、食後にオフィスのすぐ脇にある池のほとりで、ベンチに腰掛けて文庫本を開く。近くのポプラ並木に足を伸ばすこともある。

そして、夕方6時。陽が傾きかけると学食で学生たちと並んで食事をし、オフィスに戻り、もうひと仕事。

そして夜。部活や実験を終えた学生たちと並んで広いキャンパスを横切って徒歩で帰宅。

そんな一週間を過ごすと、何か、忘れていた人間らしさをだんだんと取り戻していくようだ。

これまで、自分はなんてあくせくして生きてきたのか、そう思うときもある。

同じ一日、同じ一時間でも、東京と違って、ゆったりとした時間の流れがある。

そう思うと、もう東京に戻れないかもしれない。