橋口亮輔監督の「恋人たち」を観る

かねてより観たかった、この映画を「キネカ大森」で見た。

通り魔に愛妻を殺された夫の遣り場のない怒り、地を這うような人間の深い情念が素晴らしい演技で表現され、あっという間の140分。

救いがないような世の中で、ラストシーンではひとかけらの救いが。

からっと楽しい、アクションのすごい映画もいいが、映画館を出て1分で忘れる。

それよりも、あいつはおかしい、とか、あの子に共感する、とか、一日中ああだこうだと余韻に浸っていたれる、「後を引く映画」が好きだ。

この映画も、生きることの残酷さ、苦しさをこれでもかこれでもか、と見せながら、でも最後は、「でも生きて行かねば」と思わせる良い映画だった。