人生の目覚まし時計が鳴ったとき

先日、胃がん闘病の末25歳で亡くなった山下弘子さんの手記。

いわゆる、苦しい苦しい治療を戦う「闘病記」ではない。余命宣告された若い女性の日常の生活と心模様が淡々と描かれているが、正直、今の自分の半分しか生きることができなかった彼女に、こんなに教えられ、勇気づけられるとは思わなかった。

あちこちにアンダーラインが引かれた本をもう一度紐解き、改めて彼女が懸命に生きようとした日々を思う。
「幸福かどうかは私の心が決める」
「残された日々を一日たりとも不幸な日にしない」
といった彼女のことばを反芻してみる。

「まあこんな日もあるさ」、
「さえない一日だったがまあいいか」
といった気分で日々を送っている自分がいかに人生を浪費しているか教えられる思いだ。

彼女にとって余命宣告は、カウントダウンが始まったことを告げる「人生の目覚まし時計」だったという。

考えてみれば人は誰でも毎日がカウントダウン。

私もいつまでも眠っている場合ではない。