仲間と。がんと向き合う子どもたち

今日は子どものサッカーの全国大会についてひたちなか市に行く予定であったが、台風で大会自体が中止になった。で、読書。

昨年、中学生の息子さんを小児がんで亡くされた職場の先輩から贈られた「仲間と。がんと向きあう子どもたち」を一気に読んだ。その息子さんも執筆者の1人である。将来の夢なども語られていて、彼の葬儀に参列した身としては、なかなか重い。

この本の大きなテーマは、子どもに対するがんの告知の問題である。告知が子どもに与える精神的動揺、完治してしまえば、むしろ病気であった事を知らない方が心穏やかに暮らせる事、等の問題があり、一筋縄でいかない問題である。

小児がんは最近は映画やテレビドラマでしか見ないので、他人事のような気になってしまうが、現実には全国で二万人以上の子供たちが小児がんと闘っているという。

私の妻は出産の際、子ども医療センターという、多くの難病の子供たちが通院、入院している施設の産科に長く入院し、大変な難産で息子を産んだ。

私は当時、ロシアに単身赴任中であったが、妻がその病院に救急車で緊急入院した際、いてもたってもいられなくなり、休暇をもらって次の日、日本に帰国して病院に駆けつけた。

そのまま数日間日本に滞在し、病院に見舞いに通った。そこで出会ったのは、多くの闘病中の子供たちとその親、それを支える医療スタッフであった。正直言って、私にとってそれはつらかった。何とか元気に、無事に生まれて欲しい、早く退院したい、それだけを願っていた。

幸い、生まれてから息子は、今日までほとんど病気や怪我もなく、健康に育っている。

この本を読んで改めて、10年前、病気の親子の苦闘を目の当たりにした日々を思い出した。
「自分達は健康でよかった」と単に喜んでばかりいられない。彼らと、私達を隔てているのは、多少の偶然と幸運という、極めて頼りないものである。

あの病院で出合った子どもたち、それを支える親や医療スタッフに役に立つようなことを、将来、ささやかであったとしてもやってみたいと思う。