流れ星を見ながら

去年の暮れ、科学雑誌で宇宙物理学者である東大教授の最新宇宙論に関するインタビューを読んでいて思わず唸ってしまった。

教授はこともなげに言う。

「宇宙が始まる前は「無」です。無とは何か、空っぽ、ではなく、何もない状態、時間さえないのです。宇宙物理学者は、宇宙が始まる時点は、有と無の間がゆらいでいる状態とみています。まさに、「色即是空、空即是色」という、般若心経が示す世界観が最新の宇宙論です・・・」

「理論的に言えば、我々が今いる宇宙と、全く別の宇宙があるかもしれません。我々がそれを観測することはできませんが・・・」

先日、子どもをサッカーの試合で山中湖に送っていく途中、明け方であったが、流れ星を多数目撃した。夜空をすぅーと落ちていく流星たちは本当に神秘的であった。この星たちはどこからやってきて、どこに消えていくのか、と思いながら、私は教授の宇宙論を思い出していた。膨張している今の宇宙は、理論的にはいずれ収縮に転じるはず、という。そして、いつかはこの広大な宇宙そのものも、無に還っていくのだろうか。

最新の宇宙論が読み解く宇宙の始まりと終わり、そして別の宇宙の存在等々、本当に不思議である。