居酒屋タクシー問題

最近マスコミに登場しだした、「居酒屋タクシー」なる言葉。公務員が帰宅時にタクシーからビールやおつまみを振舞われることが物議をかもしている。

金品をもらったりしていた輩もいるらしいからこれは論外としても、「運転手からビールやつまみをもらった職員○○人、○○回」といった調査が各省でされているらしい。たぶん調査担当者はこういった類の調査のために深夜残業、タクシー帰りなのだろう、と同情してしまう。

嫌な言葉である。深夜のタクシーで役人が饗応を受け、脳天気に酔っ払って家路につく、享楽的な臭いがプンプンする。

私も数え切れないくらい、深夜、タクシーで帰宅した。疲れ果てて泥のように眠っているのがほとんどだったから、私の自宅を覚えてくれている運転手さんの車に再度乗り合わせたときは、天の采配に涙したものだ。自宅に着くまでぐっすり、1分でも長く眠れるではないか。

夜が明け始めていたりすると眠れない。東の空がしらじら明けてくるのを見ながら、真剣に転職を考えたものだ。

何ともやりきれない思いを抱いていたが、昨日の新聞を読んで快哉を叫んだ。国土交通省が国会休会中の夏の2ヶ月だけ、試みにタクシーチケットを廃止するという。「深夜1時、2時まで働くのが通常、という異常な職場環境を見直すきっかけになければ」という冬柴大臣の指示だそうだ。

何とも画期的ではないか。
国土交通省だけでなく、全省でトライすべきだろう。国会会期中も含めて継続できるようににならないだろうか。

しかし、しわ寄せされるのはきっと若手である。仕事だけは山ほどあるのだ。タクシーチケットがないと、彼らは役所に泊まるしかないからだ。私も若い頃、タクシーチケットが少ない職場だったので、週に1度は職場に泊まった。少しでもよく眠れるように、と空調室に折りたたみベットを置いて寝起きしていた同僚は、ぜんそくを発症した。

それでも良い。

そういう結果になったとしたら、次はそうなる根源を絶つことだ。国会待機、予算待機、法令協議待機等々、職員の深夜帰宅を当然の前提としている各種のシステムを根本的に変革する事が必要だ。

予算委員会における国会議員への答弁作成に、質問1問あたり、いくらコストがかかったか、答弁作成に費やした役人のタクシー代も含めて分析をしてみるのも面白いではないか。そうすれば、国会のシステム全体の改善にもつながるではないか。そして、国会も行政ももっと、多くの時間を本当の意味で、よい政策を立案するために使えるではないか。

この問題、はじめはまたか、とため息をついていたが、いい方向に転がりだしそうな気がする。