オバマ大統領の演説批判への違和感

オバマ大統領ノーベル平和賞授賞式での演説で、武力行使を肯定し、戦争にも「良い戦争」があるとの趣旨の演説を行い、日本の被爆地の関係者に波紋を広げている旨の報道がされている。

演説の原文を見なければわからないが、そんな切り口で報道されることには違和感を覚える。

大統領の言う「戦争」とはアフガンのことであり(イラクはまた別の問題だが)、広島長崎と同列に論じることはおかしいと思う。

実際にアフガンにも行ったことがあるが、少なくとも私が会った現地のアフガンの人たちは、タリバン政権が去ったことを本当に歓迎していた。

これに対抗するアフガン政府軍はいまだ脆弱。せめて、彼らがきちんと対抗できるようになるまでは、支援が必要ではないか、ということだろう。

ナチスドイツに占領されたパリでは市民が武器を手にレジスタンスという一種の戦争をしていたわけだが、私は今のアフガンは、内戦という構図であるが、同様の状況にあると思う。

アフガン政府軍とアフガンに展開している外国軍が敗れれば、世界的な文化遺産であるバーミヤンの仏像を爆破し、女性への教育を禁止して女子学校を閉鎖し、女性の識字率数パーセントになったという、恐るべき暗黒の時代に、アフガンが戻ることを意味する。問われるべきは、それでもいいのか、ということだ。「良い戦争」があるのか、などを論じる前にこれを考えなければ意味がない。

アフガン国民自身が解決せよ、というなら、それはそれで傾聴に値する意見だが、それならアフガン国内の内戦は避けられないし、平和に戻るまでの時間は確実に長くかかるだろう。