ネフスキー修道院

昨日は、夜行列車明けで精力的に歩き回りすぎたせいか、ノブゴロド観光は途中でバテてしまい、少し予定を早めて15時発のサンクトペテルブルク行きのバスに乗り込んだ。

サンクトペテルブルクの駅前の一泊1000ルーブル(3000円)の安ホテルでぐっすり眠ると、すっかり疲労は回復している。

早朝から観光できるところ、ということで訪れたのが、ネフスキー修道院の付属墓地。墓地とはいえ、入場料も取る、れっきとした観光地だ。

まずドストエフスキー。ここに来るなら小説を読んでおくべきだった。
カラマーゾフ」や「罪と罰」を読んだのはもう20年以上前。

画家、クラムスコイ。邦題「忘れえぬ女」で知られるロシア画家の大家であるが、極めてシンプル。レーピン、イワノフ、シーシキンと、私がモスクワでよく通うトレチャコフ美術館の巨匠たちの墓にも参る。画家たちのお墓は総じてシンプルで驚いた。

「創造」は生者の特権だ、と改めて思う。

作曲家ボロディン。今夜はマリンスキーで、ボロディン作曲の「イーゴリ公」を見るのだ。ボロディンがここに眠っているのは知らなかったので、偶然が嬉しく、ここにも手を合わせておく。

変な性癖かもしれないが、私は墓地巡りが好きで、鎌倉に住んでいた頃もよく通ったが、こちらの墓地は彫刻がとてもユニークで、不謹慎なようだが、歴史知識を紐解きながらの有名人の墓地めぐりは実に楽しい。

思わず見とれたのは、チャイコフスキーの墓。天使が2人。1人は彼の胸像の後ろで十字架を捧げ持ちながら天を仰ぎ、もう一人は楽譜を眺めているように見えて、実は物思いに沈んでいるようだ。

天使の表情は実に物憂げで、彼の死を悼む気持ちが痛いほど伝わってくる。

天使は、音楽家の仕事は永遠だよ、と訴えているように見える。確かにそうかもしれない。

彼が亡くなって100年以上たつ訳だが、私てちは白鳥の湖を聞いて心を震わせ、くるみ割り人形を聞いて心躍らせ、悲愴を聞いて人生のさまざまな出来事に思いを馳せるのだ。



上 ドフスエフスキー
中 左からボロディンムソルグスキー。写っていないがこの右にはリムスキー・コルサコフの墓があった。
下 チャイコフスキー