浦上天主堂写真展



もう一週間以上前だが、23日の祝日、銀座の画廊で開かれていた浦上天主堂の写真展に行ってきた。

長崎の原爆投下の爆心地に近く爆風で大破し、ミサの準備中だった司祭ら三十数人が即死した。

掲示されているのは、被爆直後から解体される1958年までの浦上天主堂の模様を写した貴重な写真である。

一枚の写真があった。熱を伴う放射線を浴びて全身が真っ黒になり、指先が吹き飛んだ「悲しみのマリア像」。

もともと十字架に架けられた子イエスの死を悲しむマリア像なのだが、自身がものすごい放射線を浴び、多くの市民が一瞬にして亡くなるのを目撃したその真っ黒い顔には、悲しみが溢れている。

鼻が欠けた聖ヨハネ像。阿鼻叫喚を見つめたその顔にも、諦念にも似た、深い悲しみが。

それにしても、どうして解体されてしまったのか。今も残っていれば、広島の原爆ドームと並ぶ、平和の大切さを訴える遺産になったのに、と惜しい。当時、保存を望む声も多かったらしいが、ついにそれはかなわなかった。

それでも、このマリア像とヨハネ像は今も再建された浦上天主堂にあり、被爆当時の面影を伝えているという。

いつか天主堂を訪れてこれらの像と対面したいと思う。


※この写真展で掲示されていた写真の多くは、「長崎 旧浦上天主堂1945-58失われた被爆遺産」(岩波書店)に収められています。