何でもない日々

今日は久しぶりに早く帰宅できた。忙しそうに対策本部内を走り回る同僚たちや、疲れ切った表情でうとうとしている上司を尻目に、「お先に」とも言わず、黙って抜けてきた。

一応、自分の担当のところが片付いたせいだが、担当によっては昨夜一睡もせずに仕事をしていた者もおり、一抹の罪悪感。

「今日はこれから日曜日と思おう」と振り切って、夜7時台の横須賀線に。

運よく席をゲットできた、と思った後、記憶がない。
気がつけば大船。

鎌倉駅に降り立ったら、何と、駅前の本屋がまだ開いていた。

一瞬魅かれたが、疲労の解消のために早く家に着かねば、と思い、通り過ぎたが、思い断ちがたく後戻りして、店内に入り、本たちの前に立った。

こうして、本たちに向かい合うのは何日振りだろうか。

大震災以降、震災対策の担当となり、入浴しながらの読書とか、休日の寺巡り、早朝の坐禅、テラスでの読書、友人たちとの語らい、目覚めた後の夢日記書き、といったささやかな楽しみがおあずけ状態となった。

今から考えると、こんなささやかな楽しみでも、自分を支えてくれていたのだなあと思う。

震災前、1日だらだら過ごして後悔ばかりしていたが、そんな何でもない日々がたまらなく懐かしい。