一本桜
昨夜、終電で真夜中一時過ぎに家に帰る途中、防犯灯に照らされた桜並木を見ると、満開になっていた。土日もなく働き続けている今、素晴らしい桜をゆっくり楽しむ時間がないのが本当に惜しい。
今朝、目覚まし時計にたたき起こされ、半ば朦朧としながら寝室のカーテンを開けると、鶴岡八幡宮の裏山のてっぺんの一本桜が、その満開の堂々とした姿をさらしていた。
私の大好きな一本桜。
あまりの美しさに、眠気が吹っ飛び、しばし見とれてしまった。
見ていた時間は1分もないだろう、これが私にとって今年の花見の思い出になるのだ。一瞬でも、素晴らしい姿を見せてくれた桜に感謝しよう。
自分がここにいなくなっても、毎年春になると、この桜は、このように素晴らしい姿を見せ続けるのだろう、と思う。
あと何回、この桜の雄姿を見ることができるのだろうか。
そう考えると、人生は本当に短い、と思う。
一方、これまで、限られた人生だから、自分の好きなこと、やりたいことを早くやらねば、と思ってきた。
だが、否応なく震災対策に巻き込まれている今、少し考え方が変わった。
好き嫌いというレベル以前に、どうしてもやらねばならない時もあるのだ、と。
「人生に何かを期待するのではなく、人生から自分が何を期待されているのかを問え」
ある人に昔言われた言葉の意味が、やっとわかりかけてきた。