オペレーションルーム小話
明日は休日となった。ゴールデンウィーク中で2日目、そして最後の休日だ。
震災対策本部入りして2か月経った。極限状態の中で様々な体験をしたが、その中でちょっと笑える小話を。
1.るるる
明け方、パソコンで朝一番の会議で使う資料を作成していて、つい居眠りしてしまった。
ふと眼をさますと、「るるるるるるるるるるるるるるるる・・・」と「る」の文字だけが5ページほど連なっていた。
気がつくと、「る」のキーボードの上に薬指が。
私はカナ打ちなのでね。
2.ない、ない!!!
同じように明け方、うとうとしながらパソコンで文書を作成していた。眠いので能率が上がらない中、ようやく2ページほどの文書作成を終えかけたころ、またしても眠りに・・・。
ハッと我に帰ると、ほぼ作成が終わりかけていたはずのワードの画面が真っ白になっていた。
薬指がBack Spaceキーの上に乗っているのを発見した私は、絶望に打ちのめされた。
3.今日は何曜日?
土日もなく職場に泊まり続けると曜日感覚がなくなってくる。ある日、隣の課長が私に話しかけてきた。
「今日は金曜日だったかな?」
正解は月曜日。
彼は週の始めと週末さえ分からなくなっているのだ。
私もサザエさん症候群だった日々を懐かしく思い出した。
あの頃は何と幸せな日々だったのか。
4.「言いにくいんですけど」
震災のドタバタのうちに私の下を離れてしまった元部下が訪ねてきて、誰もいないところで私にそう告げた。
「震災の直前、課内の男性有志で、女子社員のためのホワイトデーのお金集めていたの、覚えています?」
そんなことがあったかな。
「それでボク、500円立替えてるんですが・・・・」
あっそうなの、と言いながら財布をまさぐりかけて、突然、思い出した。
そして頭の中で彼に話しかけた。
「あのね。2月ごろに君と昼飯に行ったとき、「財布を忘れたので貸してください」と言ったので貸してやったがそのままになっているはずだが。確か1,000円。」
でも、実際に口について出たのは
「2カ月も借りっぱなしだったのか。ゴメンな」
財布から500円硬貨を出して渡しながら、「で、あのときの1,000円は?」とは遂に言えなかった。
あーあ細かいことにこだわらない、太っ腹な人間になりたいよ。