温泉津の夜

旅館では、「平日は山口で農業やってます」「学生の時にこの仕事にあこがれて」という若い仲居さんたちが、入れ替わり立ち替わり料理をもって部屋に現れて、楽しい夕食になった。もちろん、心づくしのおいしい料理。

食後は息子と近所の神社にお神楽を見に行く。

「きっと退屈するよ」と言う息子に、「日本文化をちゃんと見なさい」と偉そうに言ったが、私自身、2時間の舞台に付き合えるか、非常に不安だった。

が、期待は良い意味で、見事に裏切られた。

素晴らしかったのだ。

最初の演目は、有名な「大江山」。
源頼光大江山の鬼、酒呑童子を退治しに行く物語だが、クライマックスの鬼退治では、四メートル四方くらいしかない舞台を、ものすごいスピードで、6人が舞い、踊る。
すごい練習のたまものだ。

続いて「恵比寿」。
これを見た私は恵比寿の能面が欲しくて欲しくてたまらなくなった。

何と無邪気な。こんなお面が自宅の居間に飾ってあったら、疲れて自宅に帰った来た時、きっと眺めて癒されるだろうな、と思う。(このお面は本当にすばらしく、帰宅にてネット検索したら、島根県の工房が製作、販売しているのを発見。現在、これを買おうかどうか、真剣に悩んでいるところ)

外は素晴らしい月夜。

月、神楽。舞い。
本当に良い夜だった。


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