JRバス「向日葵号」に乗って

北海道に来て初めての本格的な日帰り旅行の場所として、名寄を選んだ。

札幌駅で、駅弁「えぞ賞味」を書い、車内で食べようかとも思ったが、待ちきれずにコンコースで食べてしまう。ちらし寿司の中にウニも入っているような豪盛な弁当を朝っぱらから食べてしまった。

札幌を7時48分発のスーパー宗谷1号で名寄へ。昔懐かしいディーゼルカーの音に身をゆだねていると、わずか二時間半で着いた。早い!

名寄で待っていたのは、JRの定期観光バス、「ひまわり号」。乗客は僅か四名だ。

まずはサンピラー公園のひまわり畑。これはすごい。

一昨年公開の映画、「星守る犬」のロケ地だったそうだが、残念ながら見ていない。見なきゃ。

「ひまわり畑の中で挙げる結婚式」というプログラムがあるそうで、ちょうど今日も、ということでリハーサルが行われていた。

バスは名寄市天文台「きたすばる」へ。ここで北大が設置した高性能望遠鏡や、プラネタリウムのプログラムを鑑賞。こんな場所にこんなすばらしい天体望遠鏡があるとは。

車内で名寄名物という「名寄バーガー」を食しながら、旧国鉄美幸線仁宇布駅へ。ここは私が高校生1年の春休みに訪れた思い出の地。美幸線はその三年後に廃止されたのだ。

昔私が降り立ち、入場券を買った駅舎はそのまま残っていた。

感慨無量。あの時は三月だったから深い雪に閉ざされていた。

今回はここから廃線跡5キロを自分でトロッコを運転していく。公園のゴーカー卜なんかじゃない、鉄橋あり、踏切あり(ただし、踏切では車優先で線路上のトロッコが止まる規則なのが微笑ましい)、ポイントの切り替え有り、そして、廃線とは言え、原生林の中に敷かれた実際の鉄路を行くのはすごいリアルさと迫力だ。

それにしても気持ちいい。

音威子府駅でふたり降り、わずか二人だけとなった客を載せて、バスは夕闇迫る朱鞠内湖畔へ。

驚いたのは、本当に何もないところ。

空いているのはボート屋だけで、湖畔の売店はみんな閉まっている。

全く物音がしない、静寂の中。

私にとってはそれにかえって魅せられた。こんな何もないところに2、3日滞在し、好きな本を存分に読み、毎日青い空と静かな湖面を眺めていられたらどんなに素敵だろうか。

バスを降り、名寄から宗谷本線各駅停車で旭川に向かった。暮れていく夕日。

キハ54単行。走っている姿を外から写真に撮りたいな。

次にどこに行こうか、と考えるがなかなか考えがまとまらない。

私にとって、物見遊山の旅は卒業だな。

次のテーマは歴史かな。

北海道といえばアイヌの人達との関わりは外せない。
今回見逃したが、朱鞠内湖ダム建設に駆り出された朝鮮人労働者の悲劇を記した記念館もあったな。

それに数ある炭鉱では数々の悲劇を背負っている。
それに今回驚かされたのは、北海道の田舎と呼ばれる地域の荒廃だ。離農が相次ぎ、せっかく開墾された土地がまた原野に戻っている。次々閉校していく学校も。なぜそうなってしまうのか、じっくり考える旅がしてみたい。