南信州は桃源郷

南信州、飯田に出かけた。阿智村の「花桃の里」は満開。
谷を埋め尽くす、紅白の花たち。
なぜ、「桜源郷」でなく「桃源郷」なのか、納得した。

見るものを優しい気持ちにさせる。

満蒙開拓平和記念館に行き、満州開拓の歴史に思いをはせる。満州から逃げる途中、中国の八路軍に拘束され、8年間も戦争に駆り出された方が「語り部」として苦難の歴史を語ってくれた。「こんなことは思い出したくないのですが」と言いながら、自分の子供を泣く泣く殺めた人がいたこと、ソ連軍の兵士が若い日本女性を慰み者にしていたこと等を語ってくれた。自分が生きて帰れたのは、自分の父親が中国人と日本人と分け隔てなく付き合っていたことではないか、とのこと。一家全員を匿い、帰国できるまで養ってくれた恩人がいたそうだ。

談話室では、90歳を超えているであろう、団体で来た老人たちが満州での体験を語り合っていた。「みんな、天皇陛下万歳じゃなくて、「お母さん!」と言いながら死んでいったなあ」と。

過去の苦難の歴史と、桃源郷のような景色が私の中で二重写しになる。