思い出

あの日の交通事故

その事件が起こったのは、何年前だっただろうか。 研究所で私の同僚だったA君はその夜、忙しかったらしい。外国人研究者として日本に来て研究していた彼は、実績が認められて、1ヵ月後に家族ともども新天地のアメリカに渡ることが決まっていた。論文を仕上…

突然の晴れ間

22年前、大学3年の春休み。 ちょうど春分の日。 京都からふらっと列車に乗り、旅に出た。 まず天橋立へ。東京から来たという若い女性と一緒に砂州を歩く。傘松公園から「股のぞき」で天橋立を鑑賞。夕方、駅で手を振って「じゃあ、またどこかで会いましょう…

オーストラリアの街角で

20年前の3月、南半球の秋の真っ只中、私はオーストラリア、パースの街角にいた。 1ヶ月にわたる、小さなリュックひとつ、着替えはTシャツ一枚という貧乏卒業旅行の終わり。シドニーからアデレード、エアーズロック、ダーウィン、そしてパースとすべて長…

理想の上司

これまで、いろいろな上司に仕えてきたが、最も印象的だったのは15年前に私のいた課の課長だったAさんである。 当時、私の職場には、様々な保険会社の営業の女性がお昼休み時を中心に出入りしていた。 その中には、バリバリの保険外交員のおばちゃんたち…