釧網本線

釧路湿原はただただ広い。
釧網本線の「ノロッコ号」で、窓辺に肘を付きながら湿原を眺め、湿原を吹き渡ってくる少し湿った風を感じているとつくづくそう思う。

鉄道に乗っていなかったら、人跡未踏の地のようにも感じただろう。そして、こんな土地に線路を敷いた人たちの苦労は並大抵のものではなかったはずだ。この鉄道を敷いたときにどんな苦難があったのか、調べてみたい気がする。

塘路駅前にある宿のユースホステルに着くと、先客たちが迎えてくれた。20年ぶりのユースホステルだが、この頃はシニアホステルの様相を呈しているらしい。若者の利用が減り、若い頃にユースの利用者だった世代が戻ってきているとか。

このユースは駅前の高台にあり、夜10時の最終列車を宿の電気を全部消して見送った。

一両編成の列車が走り出し、湿原の彼方に消えていくまでじっと見守る。

列車以外の光は何もなく、真っ暗な中に、列車の窓から漏れる一列の光がそのまま闇の中を流れている。

まるで銀河鉄道のようだった。

写真上から
ノロッコ号(塘路駅にて)
ノロッコ号の車窓から見る釧路湿原
原野を貫く鉄路
銀河鉄道