モスクワ23時
23時。
まだ外では遊んでいる子どもの声が聞こえるが、30分前に暮れた太陽の残照は、ゆっくりと、でも確実に消えていこうとしている。
とは言ってもこの季節、もう少し北のサンクトペテルブルクでは白夜。モスクワでも夜通し北の空がうっすらと明るく、完全に空が真っ暗になることはない。
モスクワは1年で一番良い季節を迎えている。
とにかく空が青い。
そして、いつまでも暮れない、というのも嬉しい。夕方6時に会社を定時に退社しても、あと数時間太陽を楽しめる。
でも、もうすぐこの景色とはサヨナラだ。
日本への帰国が決まってしまった。
あとひと月もすれば、毎朝横須賀線に乗って都心に通勤する自分を発見することになるだろう。
もう少しいろいろやりたい仕事もあったし、訪れたい場所もあった。
でもこれも時の流れ。
早いか遅いか、はあるが、ずっと変わらない、というのはあり得ないから。
また新たな気持ちで、日本で自分を試してみよう。