こんな夜更けにバナナかよ

 「生きることは人に迷惑をかけること」 「障碍者は親兄弟が面倒を見るもの」という常識を変えたい」 「病院に縛りつけられるのではなく自由に生きたい」 筋ジストロフィー患者として42歳の人生を全うした実在の鹿野氏がモデル。

 筋ジス患者であっても夢があり、諦めずその実現に向けて毎日を過ごす そのためにポランティアに頼るが、繰り返し言われるのは「鹿野氏とポランティアは対等」ということ。そして。あえて親を遠ざける。そうでなければ、親の余生が介護一色になってしまう、という配慮である。

 人はどんな境遇にあっても、こんなにも人に勇気を与えることができるのか。すべての筋ジス患者がこのように生きられるわけではない。できない患者の方が多数だと思う。だからと言って、特殊な例、とは片付けることなく、患者ができるだけ自由に、自宅で過ごせるような形を作っていくことができないか。「人に迷惑をかけるな」と教えられてきた。ただ、迫りくる高齢化社会、そして認知症の増加と言った問題は、問題を親や子、親族だけの問題にしないで、社会で助け合う、つまり、「堂々と迷惑をかける」ということなのてはないか。

 欧米では車いすの方がバスや電車に乗るのに、鉄道会社やバス会社の職員の助けが必要になることはほとんどない、という。なぜなら、バス停に車いすの方が待っていたら、バスの乗客たちが飛び出して行って乗降を手伝うから、ということらしい。助け合う社会に近づいていけたら、と思う。