小樽と大林映画の休日


朝、道路工事の音で目が覚める。昨夜は遅かったのでゆっくり寝ていたいと思ったが寝てるどころではない。
予定よりかなり早いが、札幌から小樽行の列車に飛び乗った。

南小樽で下車。少し小樽硝子の店を探索。そのまま、外人坂を目指す。
住宅街に突然現れた坂。
こんなわくわくする気持ちは久しぶりだ。登りきったあとの景色は素晴らしいに違いない。

果たして予想通りだった。
やっぱり小樽は素晴らしい。

そして、いま、小樽でこうして呼吸していること自体が、なんと素晴らしいのか、と思えてくる。
海の見えるカフェで考えを巡らせる。

偶然、カフェの近くで一般公開されていた「旧寿原邸」を見る。
百年前に建築された豪商で貴族院議員だった人物の家だ。

応接室のソファに座り、庭を眺めていると、夏の景色、冬の景色が様々に目の前を交錯する。
ここで昔から交わされていた大正、昭和の人たちの息遣いに、そっと耳を傾けてみる。

私にとって、こんな時間はかけがえのないものだ。

札幌に戻り、映画館で「この空の花〜長岡花火物語」を鑑賞。2時間40分の長編だが、長回しがほとんどないカメラワークで最後まで一気に持っていく。原爆ファットマンの模擬爆弾なるものが長岡に投下されていたことを初めて知る。長岡の花火が観光客向けでなく、長岡の大空襲で殺された方々の鎮魂のためであることも。河井継之助山本五十六山下清画伯、さらに現代の高校生と戦時下の人たちが映画上で様々に交錯するのも、「受け継がれていく命のつながり」を訴えたい大林宣彦監督らしい演出か。山古志村の美しい棚田が何度も登場する。優れた反戦映画であるとともに、日本という自然や風土の素晴らしさを見せつける愛国映画である。
http://konosoranohana.jp/index2.html

静かな小樽と大林映画。良い休日だった。