「怒り」を観る

先週は週末がずっと天候不順でもあり、映画をよく見た。「怒り」を見て、「人を信じること」とはどういうことか、を考えた。 「疑って悪かった」という経験は誰にもあるが、それが自分の愛する人であった場合、深刻な亀裂を呼ぶ。一方で、では「人を裏切るこ…

クワイ川に虹をかけた男

25年前にタイを一人旅し、この「戦場に架ける橋」を訪ねて以来、泰緬鉄道のことを調べるのはライフワークとなった。陸軍通訳として泰緬鉄道建設に関わり、駆り出された連合国軍兵士の元捕虜、現地労務者を訪ねて贖罪し、タイの子供たちの支援に一生を捧げた…

日暮里

仕事を終えてから参加できる社会人向けの座禅道場があると聞いて行ってみた。初めて日暮里駅に降り、高層ビルがニョキニョキ建っている繁華街と反対側の、ちょっと裏ぶれた感じの南口改札を出て気がつくと広大な谷中霊園のど真ん中を歩いていた。山手線を降…

シン・ゴジラ

周りの友人、同僚たちが口を揃えて勧めるので、遂に観てきた。評判通り、良い映画だった。舌を巻いたのは、役所の仕事のやり方について、本当によく調べている、ということだ。特に官邸の雰囲気。私は観終わった後、きっと官邸でロケしたのだろうと思った。…

ステイーブ・ジョブズの言葉に苦悩する

週刊ダイヤモンドを読んでいて、紹介されていたジョブズの言葉に深く考え込んでしまった。彼は17歳から33年間、毎朝自分に問いかけていたという。「今日が人生最後の日だったら、自分はこのことをやりたいと思うか」「違う、という答えが続けば、その生き方…

私の大好きな中原中也の「夏の日の歌」。(詩集「山羊の歌」より) 青い空は動かない、 雲片れ一つあるでない 夏の真昼の静かには タールの光も清くなる 夏の空には何かがある いぢらしく思はせる何かがある 焦げて図太い向日葵が 田舎の駅には咲いてゐる 上…

円卓の地域主義(牧野哲郎)を読む

南信州の飯田市には観光で何度か訪問し、元気な地域だなと感じていたが、飯田市長の牧野氏が編んだ本書を読み、飯田だけでなく同氏が関わってきた大分の別府や臼杵、さらにドイツ諸都市の取り組みを知るとともに、地域再生の推進力としての「円卓」の力を知…

梨木果歩の「海うそ」を読む

ここ数か月、全く余裕がなかった。今月は、久しぶりに海外出張があり、ウイーンに出かけたりしたので、そのうち写真をアップしたいと思っているのだが。ところで、今月通勤の合間に読んでいた梨木果歩の「海うそ」が素晴らしかったので、それを伝えるべく、…

とにかく眠い

1月に異動してから怒涛のような2か月。 やっと週末の2日間、一度も出勤することなく休むことが出来た。とは言え、自宅でずっと2日間仕事関係の書類に目を通していたが、とにかく眠い のである。1日3−4時間睡眠の日が多かったので、睡眠時間という意味…

わたしをを離さないで

全く更新しないまま年が明けてしまった。 気が付けば2月も終わり。1月1日付けで異動になり、新しい仕事に慣れるのが必死だった。加えて、超多忙で20日間、1日も休みがない、という激しい日々も通り越した。そんな中で、TBSドラマ「わたしを離さないで…

毛利甚八「家栽の人から君への遺言」を読む

私の大好きな漫画「家栽の人」の作家毛利甚八氏。先日がんとの闘病の結果亡くなったが、彼の遺書ともいえるのが本書。 佐世保の同級生少女殺人事件を起こした少女への手紙という形式の中で、生と死の意味について、その意味を切々と説いている。氏が離島で魚…

橋口亮輔監督の「恋人たち」を観る

かねてより観たかった、この映画を「キネカ大森」で見た。通り魔に愛妻を殺された夫の遣り場のない怒り、地を這うような人間の深い情念が素晴らしい演技で表現され、あっという間の140分。救いがないような世の中で、ラストシーンではひとかけらの救いが。か…

子供ホスピス

日比谷図書館で、作家の高橋源一郎氏を囲んで、氏の英国子供ホスピス見学体験を聞きながら、日本の子供ホスピスのあり方について考えを巡らせる。医療関係者を中心に15人くらいでのディスカッション。 「ここは死ぬ場所でなく、よりよく生きる場所」 「ここ…

不思議な夢

先日のこと。ある大学の記念パーティーに招待されていて、はがきで出席の予定と伝えていたが、式典前日風邪を引いてしまい、当日である翌日の日曜日のパーティー欠席を決意して床に就いた。週末ゆえ、私の欠席を伝えられないことが気がかりだった。その夜、…

石光真清自伝4部作を読破する

明治から昭和初期にかけて、軍人という身分を隠してロシア極東、満州地域で洗濯屋、写真屋として諜報業務に従事し、失意の帰国後、世田谷で郵便局長、そして軍の要請で大正期にさらに満州にわたり、諜報、工作任務に従事、最後は借金を抱えて失意の中で他界…

やっぱり美瑛は最高だ

小難しいことや、過去の色々な感傷を吹っ飛ばすには、やっぱりここ、美瑛だ。

アルテピアッツァ美唄

廃校になった小学校が安田侃氏の彫刻美術館として再生させたアルテピアッツア美唄正直、現代彫刻は苦手だった。だが、ここは彫刻が優しい周りの風景とぴったり合っていて、時を忘れてくつろいだ。広い敷地の林の中にそっとオブジェが置かれていたりして探検…

三井美唄炭鉱

三井美唄炭鉱の跡地である炭鉱メモリアル森林公園を訪ねた。車を降りたっても人っ子ひとりおらず、近代化産業遺産に登録された鮮やかなオレンジ色の立坑巻き上げやぐらが2機、青空をバックに屹立していた。ふもとはどこまでも広がる草原。かつて何千人もの…

三井芦別鉄道跡を歩く

芦別市で見た旧三井芦別鉄道の廃線跡では、鉄橋上に、ディーゼル機関車と貨車が「展示」されていた。今にも走り出しそうなリアルさ。それにしてもキュートな機関車。

芦別カナディアンワールド

芦別のCanadian World。観光ガイドブックにも載っておらず、知る人ぞ知る穴場。入場無料。もとはと言えばバブルの頃のテーマパークブームに乗って作ってみたが、お決まりの末路で市に莫大な借金だけが残った。場内を一周していた汽車ポッポの錆びたレール、…

増毛の夜

増毛のとほ宿「ぼちぼちいこか増毛館」。ハーレー・ダビットソン女子、爺さんライダー、自然との共生を目指して農園で働きながら猟銃免許もと意気込む移住女子、道内全駅下車に挑むおじさん、鉄子ちゃんなど老若男女遅くまで話が弾む。あとは相部屋で雑魚寝…

樺戸集治監にて

連休に北海道を訪ねた。北海道開拓の先駆けとなり、道路開削や農地開拓の先兵となった、北海道最初の監獄、樺戸集治監は月形町の博物館に。神風連の乱など不平士族たちも多く囚人としてこの地に送られてきた。入り口の階段は囚人たちの足にはめ込まれた拘束…

親が今の私の年だったころ

私の親が50歳前後だったころ。母は校内暴力に荒れ狂う中学の学年主任だった。毎日のように深夜帰宅。ボロボロになって帰宅していた。翌朝、出勤したくない、と言いながら、でも行かないと教員がドミノたおしになる、同僚に迷惑はかけられない、と歯を食いし…

ほたるの里

2週間前になるが山梨県身延町一色の「ほたるの里」を訪ねた。 夜8時を過ぎると一斉にホタルが舞い始めた。 100メートルほどの川沿い、100匹以上はいるだろう。高く高く舞い登る者も。点いたり消えたり、一斉に同期しながら明滅する様は彼らの最期の煌めき。…

第二の人生は

連休のある一日、私は山梨の山奥で、自力でログハウスを建て、山林管理の仕事を請け負い、間伐材の伐採や炭焼きを生業としている方を訪ねた。一緒に静かな山村を歩き、山菜を摘み、タケノコを掘り、村人の家に立ち寄り、村の温泉に入り、夜は飲みながらとわ…

南信州は桃源郷

南信州、飯田に出かけた。阿智村の「花桃の里」は満開。 谷を埋め尽くす、紅白の花たち。 なぜ、「桜源郷」でなく「桃源郷」なのか、納得した。見るものを優しい気持ちにさせる。満蒙開拓平和記念館に行き、満州開拓の歴史に思いをはせる。満州から逃げる途…

明日にこの世が終わっても、私はリンゴの木を植える

私の好きな言葉だ。今やっていることを、明日自分の運命が尽きることが分かってもそのまま続けられるか、ということでもあり、裏返せば、今自分が携わっていることが、どれだけ大切なことなのか、という自らへの問いである。分別盛りが過ぎた49歳になっても…

正念場

何というか、仕事が最近無茶苦茶ハードである。 年度末というせいもあるが・・・・先週月曜は1時間、火曜は3時間・・・ これ、自宅で眠った時間。 往復の車内ではぐっすり寝込んでいるのだが、その時間を加えても足りない。昨日14日は出勤して仕事し、午…

夕陽を見ながら考えたこと

朝から持ち帰り仕事を自宅でこなしていたら、さすがに夕方には煮詰まり、小坪のカフェに夕焼けを見に行った。ツルベ落としのように落ちる冬の夕日を見ながら、毎日、夕日を見に犬を連れて近くの里山に出入りしていた中学生のころを不意に思い出した。将来に…

悼むということ

先日、仕事の関係でお世話になっている方のご家族に御不幸があり、葬儀に参列した。 亡くなられたのが大学を卒業されたばかりのお嬢様で、同級生たちの嗚咽が聞こえる、非常に悲しい葬儀であった。私が記憶している最初の葬儀は13歳のとき、私の祖父の葬儀…